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血友病患者さんの充実した人生のために。
「ヘモフィリアToday」では、患者さんとご家族の方々、そして患者さんをサポートされる方々のお役に立つ、血友病関連情報をお届けしてまいります。

血友病をまなぶ インヒビターエリア

血友病をまなぶ 監修:地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立こども病院
血液凝固科 医長 小倉 妙美 先生

インヒビター

人間の体には、体内に入ってきた「よそ者」を攻撃したり、「抗体」と呼ばれる物質を作ってよそ者のはたらきを抑え体を守る、「免疫」と呼ばれるしくみが備わっていて、白血球がその役割をはたしている。ウイルスなど悪さをするよそ者に対し、免疫がはたらくのはいいことだけれども、やっかいなことに体にとって必要なものに対しても、免疫がはたらいて抗体ができてしまうことがある。
実際に、補充療法で体内に輸注している血液凝固因子に対して、この抗体ができることがあり、これを「インヒビター」と呼ぶ。もともと血友病では、血液凝固因子が不足しているので、不足している凝固因子を体内に入れると、体がそれをよそ者だとかん違いしてしまうためだ。
インヒビターができると、せっかく補充した凝固因子の一部がはたらかなくなってしまい、止血しにくくなる。いつも通り輸注しているにもかかわらず、止血しにくくなった場合はドクターにみてもらおう。

ポイント

  1. インヒビターの正体は、体をよそ者から守る「抗体」
  2. 体が凝固因子をよそ者とかん違いしたためできる
  3. インヒビターができると補充した凝固因子の一部がはたらかなくなり、止血しにくくなる

Qインヒビターはどうやって調べるの?

インヒビターがあるかどうか、そしてその量は、「ベセスダ法」と呼ばれる血液検査で調べる。インヒビターの量は、BU(ベセスダ単位)を使って表すけれども、0.6 BU/mLを超える場合にインヒビターがいる(インヒビター陽性)と判断される。インヒビターが多いほど、補充してもはたらかなくなる凝固因子が増えてしまう。

Qインヒビターができやすい人っているの?

インヒビターのできやすさは人によって違う。家族にインヒビターができた人がいる場合や、凝固因子活性が1%未満の重症の人、血友病Bよりも血友病Aの人にできやすいといわれている。また、できるインヒビターの量も人によって違う。インヒビターが5 BU/mL以上できる人を「ハイレスポンダー」、インヒビターができても5 BU/mL未満と少ない人を「ローレスポンダー」と呼ぶ。

中和療法・バイパス療法

インヒビターができても、そのための治療法が用意されている。
ハイレスポンダーかローレスポンダーか、そして一番最近に測ったインヒビターの量で、治療法が決まってくるぞ。

中和療法

インヒビターができてもその量が少ない場合は、インヒビターのせいではたらかなくなった凝固因子の分を上乗せして、いつもより多い量を輸注すれば止血ができる。この治療方法を「中和療法」と呼ぶ。

バイパス療法

中和療法とは別に、いままでの第VIII因子や第IX因子を使わずに、他の因子を使った特別な薬の力でフィブリンを作って止血する方法がある。これを「バイパス療法」と呼ぶ。バイパス療法は、ハイレスポンダーの人など、インヒビターの量が多い場合に使われる方法だ。

免疫寛容導入(ITI)療法

インヒビターができてしまうもともとの原因は、体が凝固因子を「よそ者だとかん違いしてしまう」ことにあるので、体に凝固因子はよそ者じゃないと思わせてしまえばいい。これを利用したのが「免疫寛容導入(ITI)療法」と呼ばれる治療法だ。
この治療法では、大量の凝固因子を毎日、または少なめの凝固因子を週3回輸注することで、体に凝固因子を慣れさせる。
この治療法を成功させるコツは、治療法を始めるまでにインヒビターを増やさないこと。もしインヒビターができたら、ITIをはじめるタイミングや、どのような治療スケジュールにするか、ドクターにきちんと確認しよう。そして、いつもより凝固因子製剤の効き目が弱い、輸注しているのにアザが増えてきたなど、インヒビターができたかなと感じたら早めにドクターに相談することが大切だ。

今、インヒビターについては新しい薬の研究や開発が進められていて、近い将来インヒビターの心配をしなくてもすむかもしれない。それまで、しっかりとインヒビターと戦っていこう!

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