製品情報概要 臨床成績

国際共同第Ⅲ相比較試験(多施設共同非盲検試験)

  • 6) 社内資料(承認時評価資料):国際共同第Ⅲ相臨床試験
    7) Mahlangu J, et al.: Blood 2014; 123: 317-325.
    本試験はBiogen Inc.の資金提供を受けています。

対象

治療歴のある12歳以上の先天性重症血友病A男性患者165例
[内因性第Ⅷ因子活性<1IU/dL(<1%)]

投与方法

対象患者を2つの定期的な投与群、出血時投与群の3群に分け、非盲検試験を行った。
試験開始前に定期的な投与を行っていた患者は、個別化した定期的な投与群に組み入れた。試験開始前に出血時投与を行っていた患者は、個別化した定期的な投与群の選択も可能であるが、患者が個別化した定期的な投与群を選択しない場合は過去12ヵ月間の出血回数に基づき、週1回の定期的な投与群又は出血時投与群へ無作為に割り付けた。
試験期間中に大手術を受ける患者は、周術期の補充療法サブグループへの組み入れを考慮した。

(1)個別化した定期的な投与群(個別化群):

イロクテイトを週の1日目に25IU/kg、4日目に50IU/kg投与し、薬物動態の評価結果に基づき、患者毎に第Ⅷ因子活性のトラフ値が1~3%(投与7週目以降、直近の8週間以内に2回以上の中等度又は重度の自然出血*1があった場合はそれ以上の値)に維持されるように用量(25~65IU/kg)及び投与間隔(3~5日毎)を調整して、実投与日数が50日になるまで又は28~52週間投与した。

【ルリオクトコグ アルファの投与について】

対照薬であるルリオクトコグ アルファの薬物動態測定のため、個別化群に割り付けられた一部の患者にルリオクトコグ アルファ50IU/kgを単回投与し、薬物動態を評価した。96時間以上の休薬期間後にイロクテイト50IU/kgを投与し、薬物動態を評価後に、個別化群として規定された用量・投与間隔に基づき継続投与した。

*1 中等度及び重度の出血

筋肉内出血、口腔内出血、確定診断された関節血症、顕在的な外傷、小手術等

重度の出血及び生命に関わる重度の出血

頭蓋内出血、腹腔内又は胸腔内出血、消化管出血、中枢神経系出血、咽頭後隙又は後腹膜腔出血、腸腰筋出血等

(2)週1回の定期的な投与群(週1回群):

イロクテイト65IU/kgを7日毎に、実投与日数が50日になるまで又は28~52週間投与した。

(3)出血時投与群(出血時群):

初回投与としてイロクテイト50IU/kgを単回投与し、その後は急性出血時の治療として出血の重症度に基づき、10~50IU/kgを実投与日数が50日になるまで又は28~52週間投与した。

(4)周術期の補充療法サブグループ(周術期サブグループ):

投与群に関わらず、試験期間中に大手術*2を受ける患者は周術期サブグループへの組み入れを考慮した。用量は10~50IU/kgで、治験担当医師が割り付けた投与群の投与方法に安全に戻せると判断するまで、周術期における補充療法を継続した。

*2 大手術

術中に全身麻酔及び/又は呼吸補助を必要とする侵襲性の高い外科的処置(待機的手術又は緊急手術)等

PAGE TOP

試験デザイン

試験デザイン

個別化群における投与量及び投与間隔の調整方法

主要評価項目

安全性及び忍容性:
  • ・身体所見及びバイタルサインのベースラインからの臨床的に重要な変化
  • ・臨床的に有意な臨床検査値の異常を含む有害事象の発現頻度
  • ・ナイメゲン変法を用いたベセスダ測定に基づくインヒビター発生頻度
有効性:
  • ・年間出血回数(自然出血及び外傷性出血)における個別化群と出血時群の比較
  • ・薬物動態パラメータ(用量補正AUC、半減期、平均滞留時間、クリアランス及び上昇値)

副次評価項目

有効性:
  • ・年間出血回数(自然出血及び外傷性出血)における週1回群と出血時群の比較
  • ・急性出血時におけるイロクテイト投与に対する患者の反応の、出血反応スケールを使用した患者による評価
  • ・急性出血時における医療機関でのイロクテイト投与に対する患者の反応の、出血反応スケールを使用した治験担当医師による評価
  • ・患者1例当たりの自然出血(関節、軟部組織、筋肉)の年間回数
  • ・患者1例当たりの関節出血(自然出血及び外傷性出血)の年間回数
  • ・止血(関節、軟部組織、筋肉)に要したイロクテイトの投与回数及び1回投与量
  • ・患者1例当たりのイロクテイトの年間投与量
  • ・最後のイロクテイト投与から出血までの時間
  • ・薬物動態/薬力学的評価の追加パラメータ
  • ・小児/保護者向け又は成人向け血友病HRQOL調査票を用いた生活の質(QOL)

【周術期サブグループについて】

  • ・イロクテイトを用いた手術に対する患者の反応の、出血反応スケールを使用した治験担当医師及び外科医による評価
  • ・手術期間に止血維持に要したイロクテイトの投与回数及び1回投与量 等

PAGE TOP

個別化群における投与間隔及び投与量

個別化群において、イロクテイトの投与量を目標とする第Ⅷ因子活性のトラフ値が得られるよう調整し投与したところ、投与間隔の中央値は3.5日でした。投与期間が9ヵ月以上であった患者の最終6ヵ月間の投与間隔の中央値は3.6日であり、投与期間が6ヵ月以上であった患者の最終3ヵ月間の投与間隔の中央値は3.5日でした。

個別化群における投与間隔

個別化群におけるイロクテイトの週間投与量の中央値は77.9IU/kgでした。投与期間が9ヵ月以上であった患者の最終6ヵ月間の週間投与量の中央値は77.7IU/kgであり、投与期間が6ヵ月以上であった患者の最終3ヵ月間の週間投与量の中央値も77.7IU/kgでした。

個別化群における投与量

PAGE TOP

年間出血回数

個別化群における患者1例当たりの年間出血回数は出血時群に比べて92%減少し、週1回群では76%の減少が認められました。

投与群別の年間出血回数〔主要及び副次評価項目〕

出血の種類及び部位別に各投与群の年間出血回数を評価したところ、関節内及び自然出血の年間出血回数の中央値は、個別化群ではそれぞれ0.0回、週1回群ではそれぞれ1.9回でしたが、出血時群では22.8回、20.2回でした。

出血の種類及び部位別の年間出血回数

〈年間出血回数の算出法〉

年間出血回数 =

有効性評価期間内に発現した出血回数

有効性評価期間の総日数

 × 365.25

試験開始前に定期的な投与を行っていた患者をイロクテイトの個別化群へ切替えたところ、年間出血回数の中央値は6.0回から2.3回に減少しました。試験開始前に出血時投与を行っていた患者ではイロクテイトの個別化群及び週1回群への切替えにより年間出血回数の中央値がそれぞれ27.0回から0.0回、29.0回から3.6回に減少しました。また出血時投与からイロクテイトの出血時群へ切替えたところ、年間出血回数の中央値はそれぞれ24.0回、33.6回でした。

試験開始前の治療レジメン別の年間出血回数

PAGE TOP

関節内の自然出血回数

関節内の自然出血の年間出血回数の中央値は、個別化群及び週1回群の両群とも0.0回でしたが、出血時群では18.6回でした。

関節内の自然出血の年間出血回数〔副次評価項目〕

PAGE TOP

止血に要する投与回数

イロクテイトの個別化群、週1回群、及び出血時群の全患者において、試験期間中の急性出血は757件に認められ、そのうち661件(87.3%)が1回の投与で止血可能でした。残り10.4%は2回、1.7%は3回、0.5%は4回以上の投与で止血可能でした。

止血に要するイロクテイトの投与回数〔副次評価項目〕

PAGE TOP

急性出血時投与に対する患者評価及び医師の総合評価

試験期間中の急性出血におけるイロクテイトの1回目の投与に対する患者評価(4段階評価;著効、有効、部分的に有効、無効)は、著効と有効が合わせて78.12%、部分的に有効が21.21%、無効が0.67%でした。
試験期間全体を通じたイロクテイト投与に対する医師の総合評価(4段階評価;著効、有効、部分的に有効、無効)では、著効と有効が合わせて99.30%、部分的に有効が0.70%でした。

急性出血時の初回投与に対する患者評価〔副次評価項目〕

医師による総合評価〔副次評価項目〕

<患者評価>

・著効:

投与から約8時間以内に著明な出血症状の改善及び/又は疼痛の緩和が認められた。

・有効:

投与から約8時間以内に明らかな出血症状の改善及び/又は疼痛の緩和が認められたが、完全な改善/緩和のためには24~48時間後に2回目以降の投与が必要になる可能性がある。

・部分的に有効:

投与から約8時間以内に部分的又はわずかな出血症状の改善及び/又は疼痛の緩和が認められたが、2回目以降の投与を必要とする。

・無効:

投与から約8時間以内に出血症状の改善/疼痛の緩和が認められない、又は症状/疼痛が悪化した。

<医師評価>

・著効:

急性出血に対し、通常よりも少ない又は同じイロクテイトの投与回数・投与量で反応した。又は、定期的な投与中の急性出血(中等度~重度の出血)が通常認められる頻度よりも少なかった又は同程度であった。

・有効:

ほとんどの急性出血に対し、通常と同じイロクテイトの投与回数・投与量で反応した。しかし一部の急性出血では通常よりも多い投与回数・投与量を必要とするか、定期的な投与中の急性出血(中等度~重度の出血)が通常認められる頻度よりもわずかに高かった。

・部分的に有効:

ほとんどの急性出血に対し、通常よりも多いイロクテイトの投与回数・投与量を必要とした。又は、定期的な投与中の急性出血(中等度~重度の出血)の適切な予防のために、通常必要とされるよりも多い投与回数・投与量を必要とした。

・無効:

通常の投与量・投与回数では止血できない、又は止血のために薬剤を追加する必要があった。

PAGE TOP

周術期における止血評価

国際共同第Ⅲ相臨床試験に参加した患者のうち9例において9件の大手術が実施され、術後24時間時点の医師による止血効果を評価したところ(4段階評価;著効、有効、やや有効、不良/無効)、全ての大手術において止血効果は著効又は有効と評価されました。

周術期の止血効果
手術の種類 件数(患者数) 効果
著効 有効 やや有効 不良/無効
大手術 1) 9(9) 8 1 - -
人工膝関節全置換術 3(3) 3 - - -
両側人工膝関節置換術 1(1) 1 - - -
人工膝関節置換術 1(1) 1 - - -
腹腔鏡下右鼡径部ヘルニア修復 2(2) 1 1 - -
関節鏡検査 1(1) 1 - - -
虫垂切除 1(1) 1 - - -
小手術 2) 14(12) 3) 11 1 - -
  • 1)大手術…術中に全身麻酔及び/又は呼吸補助を必要とする侵襲性の高い外科的処置(待機的手術又は緊急手術)等
  • 2)小手術には抜歯(6件)、埋伏歯の外科的抜歯(1件)、智歯抜歯(1件)、深部注射に伴う歯科処置(1件)、膀胱鏡検査(3件)、胃内視鏡検査及び結腸内視鏡検査(1件)、創傷閉鎖(1件)を含む
  • 3)小手術2件の反応評価は得られなかった
周術期の止血効果<医師評価>

・著効:

術中・術後の出血量が、非血友病患者と同程度又は少ない(イロクテイトの追加投与が不要であり、かつ必要とされる血液成分輸血量が非血友病患者と同程度である)。

・有効:

術中・術後の出血量が、非血友病患者よりもわずかに多いが、臨床上問題となる差異ではない(術中の出血量が非血友病患者で予想される量よりも250mLを超えない範囲で多く、イロクテイトの追加投与が不要であり、かつ必要とされる血液成分輸血量が非血友病患者と同程度である)。

・やや有効:

術中・術後の出血量が非血友病患者で予想される量よりも多く、追加的治療が必要である(術中の出血量が非血友病患者で予想される量よりも250~500mL多い、イロクテイトの追加投与が必要であり、非血友病患者よりも多い血液成分輸血量が必要である)。

・不良/無効:

術中・術後の出血量が非血友病患者で予想される量よりも極めて多く、治療的介入が必要であり、かつ出血量の増加が血友病以外の医学的問題・外科的処置によって説明されない(術中の出血量が非血友病患者で予想される量よりも500mLを超えている、出血による予想されない低血圧又は集中治療室への転棟、又は血液成分輸血量の顕著な増加)。

PAGE TOP

本試験における副作用(臨床検査値の異常を含む)

国際共同第Ⅲ相臨床試験において、安全性評価対象例164例(日本人14例を含む)中9例(5.5%)に副作用が認められました。主な副作用は、倦怠感2例(1.2%)及び関節痛2例(1.2%)等でした。(承認時)
重篤な副作用及び投与中止に至った副作用は認められませんでした。

PAGE TOP