イロクテイトをお使いの患者さんへ血友病の重症度と治療
血友病の重症度は、血液中の凝固因子*1 の「活性レベル(=凝固因子が出血を止めるためにどの程度働くか・機能するか)」によって決められています。
*1:凝固因子=血液を固めて出血を止めるために重要な役割を果たす血液中のタンパク質
血友病の重症度と、出血の頻度や関節障害の程度は必ずしも一致しません。しかし、一般的に凝固因子の活性レベルが1%未満の重症の患者さんでは、中等症~軽症の患者さんに比べて、出血の頻度や関節障害の発生頻度が高いといわれています†。
†:日本血栓止血学会:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン(2013年改訂版)
血友病の重症度
血友病でない人の平均的な凝固因子レベルを100%として、以下のように分けられています。
1%未満 | 1%以上~5%未満 | 5%以上~40%未満 |
---|---|---|
重症 | 中等症 | 軽症 |
1%未満 | 重症 |
---|---|
1%以上~5%未満 | 中等症 |
5%以上~40%未満 | 軽症 |
Srivastava A, et al.: Guidelines for the management of hemophilia.
Haemophilia 2013; 19: e1-47
血友病治療は大きく2種類に分けられます
定期的な投与(定期補充療法)
出血が起こっていないときに、出血を予防するために、不足している凝固因子を定期的に、長い期間にわたって投与する治療法です。出血を繰り返すことによって起きる関節障害の発生を予防する目的で行われます。
一般的に血液凝固因子の活性レベルが1%未満の重症患者さんでは、中等症~軽症の患者さんに比べて出血の頻度や関節障害の発生頻度が高いことが知られています。そのため定期的に凝固因子を投与し、凝固因子の活性レベルを1%以上に維持して出血や関節障害の発生を防ぐことが、治療のガイドライン†にも記載されています。
†:日本血栓止血学会:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン(2013年改訂版)
急性出血時の投与(出血時補充療法)
出血が起こったときに、出血を止めるために凝固因子を投与する治療法です。
■凝固因子活性レベルが1%未満の状態で過ごす時間の長さと年間の出血回数の関係
体の中で長く作用する凝固因子製剤
凝固因子製剤が体の中で作用する時間が長くなると、投与した凝固因子の活性レベルが減るまでの時間が長くなり、注射の回数は少なくなります。
■血液中の凝固因子活性レベルの概念図
MAT-JP-2005079-1.0-10/2020