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血友病患者さんの充実した人生のために。
「ヘモフィリアToday」では、患者さんとご家族の方々、そして患者さんをサポートされる方々のお役に立つ、血友病関連情報をお届けしてまいります。

血友病をまなぶ 治療エリア

血友病をまなぶ 監修:地方独立行政法人 静岡県立病院機構 静岡県立こども病院
血液凝固科 医長 小倉 妙美 先生

体の中の出血

血友病の人は、運動するとひざが腫れたり、アザができたりしやすい。ひざが腫れたりアザができるのは、体の表面ではなく体の中で出血が起こっているからだ。じつはケガをして体の表面から出血するよりも、このように体の中で出血することの方が多い。体の中の出血は気づきにくかったり、原因がはっきりしないときもあるから注意が必要だ。

原因がはっきりしない出血はなぜ起こる?

  • A:体の中に、出血させる悪者がいるから
  • B:誰でも、ときどき体の中で出血しているから
  • C:世の中が乱れているから

血管の中には、毛細血管と呼ばれる、とても細くて傷つきやすい血管がある。そのため、じつは血友病でない人もちょっとした刺激で毛細血管が傷つき、わずかな出血が起きていることがあるんだ。通常はすぐに止血されるので気づかないけれども、血友病だと出血が大きくなることがあるんだね。つまり、正解はBだ。

注意が必要な出血

頭蓋内出血(頭の中で起こる出血)

  • 命にかかわることや後遺症が残ることがある。
  • 原因:打撲、ケガ、原因不明
  • 症状:頭痛、吐き気、けいれん、めまい、発熱、意識がもうろうとするなど

首やのどの出血

  • ひどくなると窒息したり、神経を圧迫して命にかかわることがある。
  • 原因:ケガ、のどのかぜや扁桃腺炎、咳がひどいとき
  • 症状:物が飲みこみにくい、首やのどの奥の腫れ

消化管出血(胃・腸などの出血)

  • 大量出血を起こし生命にかかわることがある。
  • 原因:胃腸炎、ケガ、咳がひどいとき、原因不明
  • 症状:血を吐く、便に血が混じる、便が黒い

うでや足の骨折

  • うでや足の骨折では、体の中にたまった血で圧迫されて、まわりの筋肉や神経がダメージを受けることがある。

腸腰筋出血
(足のつけ根の奥の筋肉内出血)

  • 痛みが激しい大きな出血で入院が必要。
  • 原因:運動、ケガ、打撲、原因不明
  • 症状:痛み、腫れ、(痛みで)股関節を伸ばせない、足の痛み・しびれ・麻痺

関節内出血(ひざ、足首、ひじなど)

  • くり返すと血友病性関節症になることがある。
  • 原因:ケガ、運動、原因不明
  • 症状:関節がいつもと違う感じ、ムズムズする、痛み、腫れ、関節が熱っぽいなど

これらの注意が必要な出血が起きたら、すぐに輸注など応急処置をして、病院に行こう!

!緊急のときにどうするか決めておこう!

緊急のとき、まわりに誰もいない場合がある。自分ですぐに行動できるよう、あらかじめ緊急の場合にどうするかを、ドクターに聞いて書き出しておこう!

緊急の状況(例:頭をぶつけたら) → 自分ですること(例:冷やす、凝固因子製剤を輸注する)

血友病性関節症

関節内出血をくり返すと関節が破壊され変形してしまい、足首やひざ・ひじの曲げ伸ばしが不自由になったり、運動すると痛くなったりする。この状態を血友病性関節症とよぶ。重症になると歩けなくなる心配もある。関節症にならないよう、十分気をつけないといけない。

正常な関節

正常な関節

正常な関節は、軟骨はツルツルして、滑膜はうすくてきれいだ。この状態であれば、スムーズに関節が動く。

関節内出血

関節内出血

関節の中で出血が起きると、関節包の中に血液がパンパンにたまって、関節が腫れてしまう。

血友病性関節症

血友病性関節症

くり返し関節内出血が起こると、滑膜はブヨブヨになって大きくなり、そして軟骨や骨はボロボロになって破壊されてしまう。この状態だと、スムーズに関節が動かなかったり、動かすと痛みがはしる。

関節とは?

ひじやひざがあることで、手足を曲げたり伸ばしたりできる。このような人間の体の部分を関節という。関節は、骨のつなぎ目の部分で、2本の骨が向かい合っているんだ。関節がスムーズに動くよう、2本の骨が向き合う部分は、軟骨というやわらかい骨になっている。また、骨のまわりは油のような液体(滑液)で満たされていて、この滑液がこぼれないよう、関節は関節包と呼ばれる膜におおわれている。そして関節包の内側には、滑液を作り出している滑膜がある。複雑だけれども、関節がスムーズに動いて、自由に体を動かすために、これらはとても大事なはたらきをしているんだよ。

ターゲット・ジョイント(標的関節)とは?

くり返し出血を起こしてしまう関節のことを、ターゲット・ジョイント(Target Joint:標的関節)と呼ぶ。ターゲット・ジョイントは血友病性関節症になりやすいので、こまめにみてもらうことが必要だ。

ずっと安静にしてるのはダメ?

出血が起きたら安静にするのは基本だ。でも、出血がおさまったり、出血が起きてないときも動かないでいるのはよくない。というのも、関節はずっと動かさないでいると、かたくなって動きが悪くなるんだ。動きが悪くなると、運動しているときにバランスをとりにくくなって、転んだりケガをしやすくなる。それに、動かないでいると筋肉がよわくなって関節に負担がかかってしまう。もちろん、出血してすぐは安静にしていなければならないけれど、なおったら動くようにしよう。

出血するとさらに出血しやすくなる?

関節内に出血しても、関節包の中にたまった血液は通常、滑膜が吸収して外に出してくれる。でも、滑膜は血液を吸収すると増殖して大きくなるんだ。大きくなった滑膜には、血管がたくさんあるので、前より出血しやすくなってしまう。それに大きくなった滑膜からは、骨を壊してしまうような成分が出る。だから、関節内出血を起こさないこと、そして起きてもすぐに止血することが大切なんだ。

血友病性関節症にならないための5つのルール

5つのルール

(1)出血を予防する治療(定期補充療法)をしっかり行う

定期補充療法を行えば、血友病性関節症にならないことがしっかり証明されている。

(2)出血が起きたら、すぐに止血する

すぐに止血することで、関節の破壊をくい止める。

(3)ふだんから運動して筋肉をきたえて、関節に負担をかけないようにする

必ずしも筋トレをする必要はないけれど、ドクターのいうことを守って、自分の好きなスポーツを楽しむようにしよう。

(4)理学療法(リハビリテーション)で関節の動きを回復させる

関節内出血が起きてしまっても、理学療法をコツコツ続ければ、関節の動きは回復させることが可能だ。ひどくなってからだとなおりにくいので、ちょっとした症状でも、きちんとみてもらうようにしよう。

(5)整形外科を定期的に受診し、関節の状態をチェックしてもらう

いつも変わらないからといって、みてもらうのをやめてしまわないように。レントゲンなどでチェックして、「いつもと変わらない」ということを確認することが重要だからだ。

関節内出血に気づくためには?

関節内出血は気づかないうちに起きて、いつの間にか関節がパンパンに腫れてしまうことがある。でも、よく気にしてみると、出血してすぐでも、チクチクしたりムズムズして、何かがおかしいと感じるはずだ。日ごろから、ひざなどの関節をよく注意して観察してみよう。

血友病性関節症はなってしまうと大変だ。だけどあまり心配しすぎるのもよくない。5つのルールを頭にいれて習慣にしていれば、他の人と同じように毎日の生活を楽しめる。だから注意しつつも、いろんなことにチャレンジしてみよう。

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