患者さん・ご家族の体験談

保因者の方の体験談Bさん

 私には息子が2人いますが、2人とも重症の血友病です。また、私の弟も血友病です。

 弟が生まれるまで、家系に血友病患者はいませんでした。ただ、私の兄は生まれるときに吸引分娩となって、頭蓋内出血が起こり、3日後に死亡しました。血友病によるものかどうかはわかりませんでしたが、弟は1歳ぐらいのときに舌を噛んで出血が止まらず、そのときに検査をして血友病だとわかったのです。

 私が保因者かもしれないということは、小学校の中学年ぐらいから聞かされていました。だから、私は結婚できないだろうし、子供を産んで家庭をつくることは無理なのだろうなと思っていました。親からも「あなたはひとりの力で生きていけるように努力しなさい」ということを言われて、その考え方が普通なのだと思って育ちました。

 私の場合は、筋肉痛にしょっちゅう襲われ、足を高くしたり、さすってもらったりしないと寝つけないようなことがありました。あざもつきやすかったし、生理のときも出血量がすごく多かったのです。でもその頃は保因者といっても「健康体でしょ?」という認識だったので、血友病の弟にばかり目が行ってしまう両親に気にかけてもらえることはありませんでした。

 私にばかり厳しいことを言ってくると感じていて、思春期には親と話をしたくない時期もありました。「弟ばかりで私の話は何も聞いてくれない」と。今思えば、私のことを思って、そうしてくれていたのですよね。保因者として、血友病の子供を産んで、その子を育てていくために、強い母親にならなくてはいけないといったことを、多分教えてくれていたのだと思います。

 それに気が付いたのは出産したときでした。妊娠したときに、それまで何度勧められても検査には行きたくないと抵抗していた私に、母が「一緒に行きましょう」と言ってくれたのです。保因者だったら何があるかわからないし、男の子だったら血友病の可能性もあるということを説明してくれて、「帝王切開にしましょう」と母が言ったのです。自分が初めての子、つまり兄を産んだときに、骨盤が狭かったから吸引分娩になって、死に至ってしまった。あなたもその危険性があるから、帝王切開にしましょうと。前もって帝王切開の準備をしていれば、例えば縦に切ったり、横に切ったり、手術方法を選ぶことができるし、緊急で縦に切った場合は、すごく切り口が大きくなることがあるからと。

 私は初めての手術ですごく不安だったのですが、母の言うことを信じて正解だったと思います。保因者である私のために一生懸命考え、ケアをしてくれていたのだなと、今はとても感謝しています。

 息子たちを産んでからも、私に対してすごく厳しいです。血友病の息子が2人いれば、それは大変で、泣きながら息子たちの乳幼児の時期を過ごしました。病院には毎日のように通わなければならないし、2人とも出血していたら、1人をおんぶしてもう1人をだっこしてと、体が悲鳴をあげるような状態でした。すごくつらくて母に電話をしたら、「頑張んなさい。当たり前でしょう」と叱られました。昔から厳しい母でしたが、私が2人を育てていくために必要な強さを持った母親になるために、あえてそうやって向き合ってきてくれたのだなと思います。

 母が将来のことを考えて、私が幼いうちから保因者ケアをしてくれていたように、私たちが保因者に対しての知識を共通して持つことで、それを娘や孫の世代に伝えていけるのではないかと思っています。

保因者の問題でお悩みの方、相談がある方は、下記ヘモフィリアねっとまで

一般社団法人ヘモフィリア友の会全国ネットワーク http://hemophilia-japan.org/