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私の兄は重症血友病で、息子も重症血友病ですので、私は確定保因者です。
兄は3歳年上ですが、私が生まれるちょっと前に、自転車とぶつかってけがをして血が止まらなくなったそうです。近くの医院でも止まらなくて、血液疾患が疑われ大学病院に紹介され、血友病と診断されました。ですから、私が生まれたときには兄が血友病であることは分かっていました。
そして両親から、私は「検査をしないといけない」ということを子どものころからずっと呪文のように言われていました。「何の検査?」と聞いても、両親は「兄の主治医が説明してくれるから」としか言いませんでしたが、明確に説明できなくても、将来、私の子どもが男の子だったら血友病になる可能性があるということは分かっていたのでしょう。
それにもかかわらず、私は保因者診断を受けずに、息子も血友病の専門病院ではなく近くの産婦人科医院で出産しました。もう少しで吸引分娩になるところでしたので、今から考えると、とてものんきだったなと思います。
そして息子が血友病ではないかと疑われたときに、私は初めて血液凝固検査を受けたのですが、凝固因子活性は30%程度しかありませんでした※。それまで青あざが出来たこともないほど出血傾向が見られなかったにもかかわらずです。
思い返せば私の母は、静脈注射をしたときに出血して腫れ上がるなどの症状がありましたので、おそらく母の凝固因子活性も低かったのでしょう。私の娘が保因者かどうかはまだ明確ではありません。でも、娘がもし保因者だったとしても、私の保因者ライフと娘の保因者ライフはおそらく違うのだろうと思います。
私は兄の、痛くなったら何度でも、夜中でも病院に行く、早くに関節の障害が出て装具をするといった姿を見て育ちました。息子が血友病と診断されたときには、私は兄の状況しか知らなかったものですから、「体育は見学か」とか「修学旅行に行けないのか」とか、「この子に寂しい思いをさせるな」と思いましたし、「私が原因でそういう思いをさせてしまうのか」と、それこそ自己否定のような思いも持ちました。
しかし、娘はそうではありません。息子が自宅で定期補充療法をしている姿を見て育ってきています。その結果、出血する機会が少なくなり、夜中に病院に駆け込むということも皆無になったことを知っています。それが自分の将来の恋愛や結婚、出産にどうつながっていくのかという考えには、娘はまだ年齢的に直面していませんが、保因者としての意識付けをどうしてあげたらいいのかということを、最近すごく考えるようになりました。
血友病患者のQOLが向上し、保因者の意識も上がってきているため、もし保因者が血友病の子どもを産んだとしても、その子のQOLは、これからまだまだ飛躍する可能性を秘めています。そういうことを娘の世代に伝えていけたら、すごくうれしいなと思います。
※凝固因子活性は血友病ではない方の平均を100%とした時に、5%以上40%未満だと軽症血友病となります。30%くらいあると日常生活にはほとんど問題ありませんが、女性では月経過多で悩まれることは少なくありません。また、事故や手術の時などには注意が必要になることがあります。
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