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血友病患者さんの充実した人生のために。
「ヘモフィリアToday」では、患者さんとご家族の方々、そして患者さんをサポートされる方々のお役に立つ、血友病関連情報をお届けしてまいります。

血友病の基礎知識 【監修】聖マリアンナ医科大学 小児科学 特任教授瀧 正志 先生

①出血したときの、止血のしくみは?

血液は、固まることなく血管の中を流れて全身を巡っています。
何らかの原因で血管が破れて出血すると、血を固めて傷口をふさぎ、出血を防ごうとする機能が働きます。

このときに重要な役割を果たすものがいくつかありますが、そのうちの1つが「凝固因子」と呼ばれるタンパク質です。凝固因子は下記のように十数種類あります。

主な凝固因子の種類

フィブリノゲン 第VIII(8)因子 第XII(12)因子
プロトロンビン 第IX(9)因子 第XIII(13)因子
第Ⅴ(5)因子 第Ⅹ(10)因子 von Willebrand因子
第VII(7)因子 第XI(11)因子 など

凝固因子は、それぞれが作用しあい、連携して血を固めています。
その凝固因子が1つでも欠けると、血は固まりにくくなります。

血友病は、この凝固因子のうち第VIII(8)因子あるいは第IX(9)因子が欠けている、または量が少なくて正しく働かないために、出血が止まらなかったり、出血が止まるまでに時間がかかったりする病気です。

止血のしくみ

①出血→血管収縮

血管に傷ができると、まず血管の壁が収縮することによって傷口が小さくなり、出血量を最小限に防ぎます。

出血→血管収縮

②一次血栓

次に「血小板」という血液の細胞成分が傷口に集まり、固まってふた(血小板血栓)を作ります。

一次血栓

③二次血栓

血小板のふただけでは強度が足りないので、凝固因子のチームが連携して「フィブリン」という強固なふたを作って隙間を完全に止血します。

二次血栓

②血友病はどんな病気?

血友病の原因と種類

血友病は、出血を止める働きを持つ凝固因子のうち第VIII(8)因子あるいは第IX(9)因子が不足している、または働きが弱いために血が止まりにくくなる病気です。

血友病には、不足している凝固因子の違いによって、「血友病A」と「血友病B」があり、それぞれ治療薬が異なります。

第VIII(8)因子が不足している、または働きが弱い…血友病A
第IX(9)因子が不足している、または働きが弱い…血友病B

血友病の患者数1)

2016年5月31日時点で報告された国内の血友病患者数は6,200人です。

そのうち、血友病Aの患者数は5,103人、血友病Bの患者数は1,097人と報告されています。

平成28年度血液凝固異常症全国調査報告書

血友病の症状

血友病患者さんでは、健康な人なら自然に止まるような出血でもなかなか止まりません。

多くみられるのは内出血(関節内・筋肉内出血)です。
出血が長く続いたり、何度も繰り返し起こることによって、痛みや腫れなどが生じます。
また、慢性的な症状としては、関節内の出血を繰り返すことで、関節が変形したり、痛みを生じます。
これらの症状は、現在では適切な治療によって抑えることができるようになっています。

血友病の重症度

血友病の重症度は、「凝固因子活性」、つまり凝固因子の働きの度合いを目安に判定されています。

健康な人の凝固因子の働き(活性)を100とし、%(パーセント)で表したものが凝固因子活性となります。
下表のように、凝固因子活性の程度に応じて軽症、中等症、重症に分類されます。

凝固因子活性と血友病の重症度分類

凝固因子活性(%)重症度
5%以上(40%まで)軽症
1 ~ 5%未満中等症
1%未満重症
血友病の重症度

③血友病の治療は?

血友病の治療

血友病は、20世紀半ばまでは有効な治療方法がなかったため、血友病患者さんは寿命が短く、重い関節症に苦しんでいました。
また、細菌やウイルスが混入した血液製剤による感染症で、多くの患者さんが苦しみました。

20世紀までの治療法は、出血後に凝固因子製剤*1を投与する出血時補充療法という治療法が主でした。この治療法では、重症型の患者さんの大半は関節障害が避けられませんでした。
最近は、先進国では凝固因子製剤を定期的に注射し、出血を抑制する定期補充療法が一般的な治療となり、適切な治療を行えば、血友病患者さんの寿命は健康な人と変わらなくなるばかりでなく、関節症も防ぐことができるようになるなど健康な人と変わらない生活の質(QOL)が得られる時代となってきました。

なお、凝固因子製剤はウイルス除去・不活化の技術が開発されたり、ヒトの血液を原料としない遺伝子組換え技術を使った製剤が開発され、安全性も高まっています。

また、長い時間効き目が持続することが期待される半減期延長型の凝固因子製剤も開発され、定期補充療法はより簡便に行える時代に突入しました。

*1 凝固因子製剤:血友病の治療に用いられる製剤です。ヒトの血液を原料とした「血漿由来凝固因子製剤」と、ヒトの血液を原料とせず、遺伝子組換え技術によって必要な凝固因子を作る「遺伝子組換え凝固因子製剤」があります。

血友病患者さんも、きちんと治療すれば健康な人と変わらない一生を送ることができます

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HG-JPN-0753

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