血友病とは

保因者診断について

【監修】東京医科大学 臨床検査医学分野 講師
篠澤 圭子 先生

保因者診断について

保因者診断のメリット・デメリット

家族や血縁者に血友病患者さんがいる場合や、家族に患者さんがいないのに患児を出産した場合など、保因者の可能性があるけれど保因者かどうか不確かな女性(推定保因者)の方が、 保因者かどうかを確定するために行う検査が、保因者診断です。

保因者診断の検査を行うこと、つまり、保因者かどうかを知ることは、下記のようなメリット(長所)とデメリット(短所)を生じます。

保因者診断のメリット

現在の症状や、今後起こりうるさまざまなことに対する準備や対処がしっかりできるようになることが大きなメリットです。

例えば、異常出血などの症状がある場合には、原因が保因者であることが分かっていれば、適切な治療を受けることができます。

また、結婚や出産など、将来の計画について深く考えることができますし、出産の際には赤ちゃんと自分自身の健康に十分に配慮された治療・処置を受けることができます。

保因者診断のメリット
保因者診断のデメリット

保因者であることが確定した場合に、強い心理的ストレスを感じ、結婚や出産について消極的になってしまう人がいることが挙げられます。

ただし、血友病はもはや治療法のない病気ではありませんし、妊娠・出産を含めた各場面においても対処する方法があるということを、改めて強調しておきます。

保因者診断のデメリット

保因者診断を受けるにあたって ―知る権利と知らずにいる権利

保因者診断を受けるか受けないかを決めるのは、本人の自由意志であり、誰かに強制されて行うべきものではありません。

保因者診断で得られた結果は、子孫を含めた家族に対しても影響を及ぼしうるものです。保因者と診断された場合に自分は何を思うのか、どのようなことが起こりうるかといったことを考え、さらに先に述べたようなメリットとデメリットも踏まえた上で、保因者診断の検査を受けるのか、受けないのかを決めるのが望ましいでしょう。

そして、しっかり考えた上で、保因者診断の検査を受けたならば、その結果がどちらであったにしても、得られた情報は本人や家族にとって有意義であると考えられます。

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保因者診断の検査方法とタイミング