血友病とは

保因者が抱えるリスクと不安

【監修】独立行政法人国立病院機構
大阪医療センター 血友病科 GM/感染症内科
医長 西田 恭治 先生

保因者が抱えるリスクと不安

不慮の事故や手術時

血友病患者さんが不慮の事故にあったり、手術を受けたりするときは、医療者もあらかじめ血友病患者さんであると分かっていることが多いので、通常、適切な止血管理が行われます。

しかし、保因者がそうした事態に遭遇した場合、医療者は保因者であるということを知らないことがほとんどなので、出血が止まりづらい体質であることが認識されず、十分な止血管理が行われない可能性があります。場合によっては、生命の危機にもさらされる危険性があります。

出産時

保因者が出産するときには、母子ともに十分な配慮が必要となります。

しかし、保因者であることを認識せずに出産に臨んだ場合は、分娩後にひどい出血が起こるケースも少なくありません。

また、保因者からは血友病の赤ちゃんが産まれる可能性がありますが、保因者であることを産科医が知らなかった場合に、吸引分娩や鉗子分娩などを行い、赤ちゃんに頭蓋内出血が起こり、後遺症が残るという悲劇も起こりえます。

将来に対する漠然とした不安

保因者の中には、治療がまだ発達していない頃の、家族や血縁者の血友病患者さんの苦労を見てきた人もいるかもしれません。また、自分自身も子どもに血友病を伝えるべきかどうかで悩んだり、もし子どもが血友病だったらどうしようという恐れを抱いたりするケースもあるでしょう。そうした不安を抱え、悩み、将来設計が立てられない保因者も少なくありません。

血友病治療は飛躍的に進歩 ―保因者であることに向き合いましょう

漠然とした不安から、保因者である可能性について調べることが怖い、という人もいます。

しかし、血友病治療は近年大きく進歩して、血友病患者さんも健康な人と変わらない生活を送れるようになっています。かつての血友病のイメージから、現実は大きく変わっています。

したがって、血友病であること、保因者であることに負い目を感じる必要はない時代になったともいえます。保因者であること、保因者である可能性があることに向き合い、医療者とともに考えながら、前向きに将来設計を立てましょう。

保因者であることに向き合いましょう

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