用語集
た行
Target Joint(標的関節)1)
関節の中で出血が起きると、漏れ出た血液の成分(特に鉄分)が、関節の内側を覆う滑膜(かつまく)という組織を刺激します。刺激された滑膜は炎症を起こして厚く腫れ上がり、さらに新しくもろい血管をたくさん作ってしまいます。この腫れた滑膜やもろい血管は簡単に出血してしまうようになります。こうして特定の関節で出血が繰り返される状態になった関節を「標的関節」と呼びます。
第Ⅷ因子
血液凝固に関わる血漿タンパク質の1つで、血液凝固カスケードを構成する因子の1つです1,2)。血漿中には100-200ng/mL含まれています1)。第Ⅷ因子の情報を含む遺伝子に異常があると、この因子がうまく働かなくなり、血液が凝固しにくくなる血友病Aとなります3)。
2)奈良信雄監修:ぜんぶわかる血液・免疫の事典, 成美堂出版, p.47, 2017
3)医療情報科学研究所:病気がみえる vol.5 血液(改訂3版), メディックメディア, p.282, 2023
第Ⅷ因子補充療法1)
血友病Aの患者さんの治療では、不足している第Ⅷ因子の血液凝固因子製剤を患者さんに静脈注射で補充します。この治療法を第Ⅷ因子補充療法といいます。投与方法には、出血の予防のために定期的に補充する方法(定期補充療法)と、出血がみられた時に補充する方法(出血時補充療法)があります。重症患者さんに対しては、血友病性関節症の発症を抑えることも目的として、定期補充療法を中心に行い、必要に応じて出血時補充療法を行います。出血回数の多い中等症や一部の軽症患者さんに定期補充療法が行われることもあります。また、運動会や外科手術といった予定に合わせて予防的に補充を行う方法(予防的補充療法)も行われています。
第Ⅸ因子
血液凝固に関わる血漿タンパク質の1つで、血液凝固カスケードを構成する因子の1つです1,2)。血漿中には3-5μg/mL含まれています1)。第Ⅸ因子の情報を含む遺伝子に異常があると、この因子がうまく働かなくなり、血液が凝固しにくくなる血友病Bとなります3)。
2)奈良信雄監修:ぜんぶわかる血液・免疫の事典, 成美堂出版, p.47, 2017
3)医療情報科学研究所:病気がみえる vol.5 血液(改訂3版), メディックメディア, p. 282, 2023
第Ⅸ因子補充療法
血友病Bの患者さんの治療では、不足している第Ⅸ因子の血液凝固因子製剤を患者さんに静脈注射で補充します1)。この治療法を第Ⅸ因子補充療法といいます1)。投与方法には、出血の予防のために定期的に補充する方法(定期補充療法)と、出血がみられた時に補充する方法(出血時補充療法)があります1)。重症患者さんに対しては、血友病性関節症の発症を抑えることも目的として、定期補充療法を中心に行い、必要に応じて出血時補充療法を行います1)。出血回数の多い中等症や一部の軽症患者さんに定期補充療法が行われることもあります1)。また、スポーツやイベント、あるいはリハビリテーション前などに予防的に補充を行う方法(予備的補充療法)も行われています2)。
2)日本血栓止血学会 インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会:インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン, p15, 2013
注射
体に針を刺して薬物を注入する方法で、検査や治療のために使用されます。投与する場所によって、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、皮内注射などに分けられます。
血友病治療では、凝固因子製剤の投与に静脈注射が使われています1)。また、抗体医薬品の投与には皮下注射が使用されています1)。
現在では、自宅で血液凝固因子製剤を注射することもできます1)。実際の治療の前には、静脈注射の方法だけでなく、出血時の対応方法などを医師と一緒に、しっかり確認することが大切です1)。なお、血液凝固因子製剤を投与するための注射針には、比較的細いものが使われています2)。
2)石黒 精ほか:はじめての血友病診療実践マニュアル, 診断と治療社, p51, 2012
DNA(デオキシリボ核酸)
DNA(デオキシリボ核酸)は、デオキシリボース(糖の一種)、リン酸、塩基から構成されており、遺伝情報を担う高分子です1)。ヒトの細胞の中では、DNAは核の中で折りたたまれ、染色体という構造として収められています1)。
DNA上にある特定の塩基配列が遺伝子であり、各遺伝子はどのタンパク質を作るかが決められています。そして、そのタンパク質をいつ、どれくらいの量作るかを制御するための情報もDNAに含まれています1)。
遺伝子の情報をもとに作られたタンパク質は、生命活動を支えています1)。私たちの体で血を固めるはたらきも、多くのタンパク質によって行われています。血友病は、この血液を固めるために必要な特定のタンパク質の設計図(遺伝子)に変化が生じ、正常なタンパク質が作れなくなることで発症する病気です2)。
2)医療情報科学研究所:病気がみえる vol.5 血液(改訂3版), メディックメディア, p.282, 2023
定期補充療法
定期補充療法は、出血がない時に欠乏する凝固因子を長期間にわたり定期的に補充する止血管理の治療法です1)。その開始時期によって一次定期補充療法と二次定期補充療法に大別されます1)。
一次定期補充療法は、重症の血友病患者を対象に、2歳未満で関節内出血がみられる前、または、年齢にかかわりなく、過去に1回以下の関節内出血の時点で開始し、成人になるまで長期間、定期的に補充を行う方法です。血友病性関節症を予防することを目的としています1)。
二次定期補充療法は、血友病性関節症の症状がみられてから投与を開始するため、一次定期補充療法の基準は満たしませんが、同様に成人になるまで長期間、定期的に補充を行う方法です1)。
中等症・軽症の患者さんは重症患者さんと比較して凝固因子の活性がやや高く、出血や関節障害の発症が少ないことが知られています1)。このことから、出血と関節障害を減少させることを目的として定期的に凝固因子を補充することで重症患者さんを軽症化する方法として開始されました1)。今では重症患者さんだけでなく、一部の中等症や軽症の患者さんにも行われています2)。
2)医療情報科学研究所:病気がみえる vol.5 血液(改訂3版), メディックメディア, p.285, 2023
最終更新日 2026年2月13日
MAT-JP-2508943-1.0-02/2026