治療について

出血した場合の補助的な治療(RICE処置)

【監修】医療法人財団 荻窪病院 血液凝固科
鈴木 隆史 先生

出血した場合の補助的な治療(RICE処置)

出血した場合はすぐに補充療法を行い止血することが大切ですが、同時に他の補助的な治療・ケアも重要です。

補助的なケアには「RICE」の基本原則があります。RICEは、RがRest(安静)、I がIce(冷却)、C がCompression(圧迫)、E がElevation(挙上)を表します。

R:安静とは

具体的には「出血した場所を動かさずにいること」です。動いているとなかなか止血しにくいので、じっとして、速やかにそして確実に止血できるようにします。また、再び出血しないよう予防する意味もあります。仕事や移動のために、なかなか安静にしにくいという声も聞かれますが、なるべく安静を保つようにします。

RICE処置における安静(Rest)

I:冷却とは

具体的には「出血した場所を冷やすこと」です。冷やすと血管が収縮するので、血がより止まりやすくなります。また、傷口に起きた炎症による熱を吸収して、痛みを和らげる効果も期待できます。実際には、氷嚢(ひょうのう)などをタオルに包み、関節など出血した場所にあてます。長時間冷やし続けると、皮膚が凍傷を起こしたり、ダメージを受けてしまうので注意します。冷湿布を貼るのもよいといわれています。

RICE処置における冷却(Ice)

C:圧迫とは

具体的には「出血した場所を清潔なガーゼなどで押さえておくこと」です。たとえば鼻出血のケースでは、小鼻を指でしっかりつまんで止血します。鼻出血の多くは、鼻の入り口の内側の粘膜から出血しているので、鼻の上ではなく小鼻のあたりを押さえるのがポイントです。その後は、ワセリンなどの軟膏を付けたガーゼや綿球をつめます。軟膏を塗ったガーゼなどは傷口にくっつかないので、取りのぞくときに再び出血する心配がありません。鼻出血の際は、仰向けに寝てしまうと血液が気道に入ってしまう可能性があるので、座ってうつむきの姿勢をとります。

RICE処置における圧迫(Compression)

E:挙上とは

具体的には「出血した場所を心臓の位置よりも高く挙げること」です。心臓の位置よりも高く挙げることでより早く止血することができます。ひざ関節に出血した場合は、仰向けになって、足を丸めたマットの上など高いところに置き安静にします。その姿勢をとると痛みが強くなる場合は無理をしないようにします。

RICE処置における挙上(Elevation)

出血時補充療法

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