血友病とは

血友病と寿命

【監修】聖マリアンナ医科大学 小児科学
名誉教授 瀧 正志 先生

血友病と寿命

血友病は、20世紀半ばまでは有効な治療方法がなかったため、血友病患者さんは寿命が短く、重い関節症に悩まされていました。

また、血液製剤が開発されてからも、細菌やウイルスが混入した製剤による感染症で多くの患者さんが苦しみました。

20世紀までの治療法は、出血後に凝固因子製剤を投与する出血時補充療法という治療法が主でした。この治療法では、重症型の患者さんの大半は関節障害が避けられませんでした。

最近は、凝固因子製剤を定期的に注射し出血を抑制する定期補充療法が、先進国においては一般的な治療となっています。

適切な治療を行えば、血友病患者さんの寿命は健康な人と変わらなくなるばかりでなく、関節症も防ぐことができるようになるなど、健康な人と変わらない生活の質(QOL)が得られる時代となってきました。

製剤の安全性も高まっており、ウイルス除去・不活化の技術が開発されたり、ヒトの血液を原料としない遺伝子組換え技術を使った製剤が開発されたりしています。

また、長い時間効き目が持続することが期待される半減期延長型の凝固因子製剤も開発され、定期補充療法はより簡便に行える時代に突入しました。

凝固因子製剤:血友病の治療に用いられる製剤です。ヒトの血液を原料とした「血漿由来凝固因子製剤」と、ヒトの血液を原料とせず、遺伝子組換え技術によって必要な凝固因子を作る「遺伝子組換え凝固因子製剤」があります。
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