日常生活ガイド

海外旅行・出張の準備

海外旅行・出張の準備

基本的には、国内旅行のときと準備・確認する内容は同じですが、慣れない海外旅行の場合には、入念に準備していくようにしましょう。

①主治医に旅行先、滞在日数、旅行の目的、活動内容などを伝え、情報収集をしましょう

下記の情報や注意点の他にも、不安な点があれば事前に相談しておくと安心です。学校や会社などの旅行の場合は、これらの情報を紙に記載するなどして、同行の教師・責任者の方へ伝えておくのがよいでしょう。

  • 必要な製剤の数
  • 旅行中の注意点
  • 旅行先の血友病診療の状況(治療法など)
  • 旅行先に血友病診療施設があるか、最も近い診療施設はどこか
  • 出血があったときの処置の確認
  • 緊急時の対処方法
  • 旅行中の主治医への連絡方法や連絡先

②主治医に証明書を書いてもらいましょう

血友病であることや、製剤を携行していることを証明する文書や患者カードなどを用意しておくと、出入国時のトラブルを避けることができたり、旅行先で医療施設にかからなければならなくなったりしたときに役立ちます。

証明書はできれば数通、英語あるいは現地語で用意しましょう。主治医に自筆で手紙を書いてもらってもよいですし、自分で書類を用意して必要なところに記入してもらってもよいでしょう。いずれの場合も、主治医に「署名」をしてもらうのを忘れないようにしましょう。用意しておくとよいのは、次のような文書です。

また、世界血友病連盟(WFH)のホームページにも英語版のサンプルレターがありますので併せてご確認ください。

主治医に証明書を書いてもらいましょう
  • 出国時の空港で、説明が必要な際に示す証明書(日本語)
  • 渡航先の空港で、説明が必要な際に示す証明書(英語あるいは現地語)
  • 渡航先の医療施設などに示す証明書(英語あるいは現地語)
  • 緊急時などに血友病患者であることを示す患者カード
患者カード サンプル(英語)

③製剤の準備をしましょう

海外では普段使っている製剤と同じものはなかなか手に入りません。念のため、旅行日数分より多めに準備しておきましょう。

  • 凝固因子製剤・輸注セット・駆血帯・注射器と針の廃棄容器を準備し、破損対策をしてバッグに入れます。
  • 滞在が短期の場合、製剤はできるだけ機内持ち込み手荷物の中に入れておきましょう。預けた荷物の紛失、温度管理、機内での緊急時などに対応できます。医師から処方された医薬品や、在宅自己注射薬剤を投与するために使用する自己使用注射針については、機内に持ち込むことができます1,2)
  • 滞在が長期にわたるため、機内持ち込みの他に、預け入れ荷物に製剤を入れる場合は、破損対策・凍結防止対策としてタオルや衣類で十分にくるんだうえで、スーツケースに入れるとよいでしょう。
  • 日本を出発する国際線の場合は、保安検査員への申告が必要であることが、国土交通省のホームページ3)に記載されています。さらに航空会社によっては、チケット予約時に製剤持ち込みの事前登録が必要であったり、持ち込むものが医薬品や自己使用注射針であることが明示できるよう、処方箋や主治医の診断書、診療情報提供書、医療券などいずれかの書類の提示が求められる場合もあります。
  • 特に海外の航空会社や空港では、医薬品や自己使用注射針の機内への持ち込みに関する制限が国内と同じとは限りません。そのため持ち込みに関する最新情報は、利用する航空会社に事前に問い合わせるとともに、国土交通省のホームページを確認しておくとよいでしょう。
  • 凝固因子製剤には常温保存のできるものがあり、30℃以下ならそのまま持ち運べるので便利です。旅行先や移動途中の温度が 30℃を超える可能性がある場合は、保冷バッグと保冷剤を用意しましょう。
1)ANAホームページ
2)JALホームページ
3)国土交通省:国際線の航空機客室内への液体物持込制限について

④滞在先施設や交通機関に、事前に確認をしておきましょう

  • 保冷が必要な製剤を使用する場合は、滞在先で冷蔵保管ができるかどうかを確認しておきましょう。
  • 関節症などがある人は、事前に滞在先施設や交通機関に連絡しておくと、部屋や座席などの位置を配慮してもらえることがあり、移動も楽になります。

NOTE

世界血友病連盟(WFH)のホームページでは、世界中の血友診療施設に関する情報を確認することができます。海外旅行の予定のある人はお役立てください。

⑤血友病のお子さんが旅行に行くとき

  • 修学旅行などでは、旅行中にお子さんが自分で注射をしなくてはならない場合があります。自己注射に慣れていない場合は、前もって練習しておきましょう。
  • 事前に学校へ血友病であることや注意点などを知らせておき、旅行中に注射をするタイミングや場所など、配慮してもらえるよう頼んでおきましょう。
  • 主治医に旅行内容やスケジュールを伝え、薬の量や投与のタイミングなどについて相談しておくとよいでしょう。
血友病のお子さんが旅行に行くとき

⑥その他

海外で製剤を入手しようとすると、非常に高額になってしまう可能性があります。製剤の数は、定期補充で必要な本数に加えて、出血時にも備え、旅行日数分より少し多めの数を持参するようにしましょう。

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