血友病の治療について
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血液凝固因子製剤とインヒビター
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血友病医療施設ガイド
血友病の治療法 ―補充療法―
血友病患者さんでは血液凝固第VIII(8)因子または第IX(9)因子が不足したり、はたらきが悪くなっていて、出血したときに血が止まりにくくなっています。このはたらきのことを「活性」といいます。そのため治療法として、「補充療法」といって、不足している血液凝固因子を補う方法が行われています。
しかし、血液凝固因子は体の中に一度入れてしまえばOKというわけにはいかず、入れても徐々にその量が減ってしまう性質があります。
例えば一般的に、第VIII因子であれば8〜12時間、第IX因子であれば16〜20時間経つと、血液中のそれぞれの血液凝固因子の活性は半分になってしまいます1)(この活性が半分になってしまうまでの時間を「半減期」と呼びます)。そのため、定期的に注射をする定期補充療法が行われています。
血友病ではない人の凝固因子活性の平均値は100%です。下の図では、定期補充療法をした場合の、凝固因子活性の推移のイメージを示しています。
定期補充療法に用いる薬剤の種類と凝固因子活性の推移(イメージ)2, 3)
Non-factor製剤は、血液凝固因子ではないため、第VIII因子に換算したイメージで表しています。
2, 3)を参考に作成
補充療法は3種類
定期補充療法
現在、中心となりつつある治療法です。定期的に血液凝固因子を補充することで、日ごろからの出血を予防していく治療法です。年齢や生活、凝固因子製剤の種類によっては、頻繁に輸注をしなければならないことが欠点ですが、血液中の血液凝固因子を常にある程度保つことで、出血を減らすことができ、将来的に関節を悪くする危険性を減らすこともできます。また、現在の関節の状態を維持したり、改善できるという報告もあります。普段の生活も、他の人たちと変わらない活動ができるようになります。
出血時補充療法
出血が起こったときに血液凝固因子を補充する治療法です。出血は血友病性関節症の原因となるため、出血した際はできるだけ早期に補充することが重要です。
予備的補充療法
激しいスポーツなど、出血する可能性が高い活動の前に、予防的に血液凝固因子を補充する治療法です。出血を防ぐとともに、出血しても程度を軽くすることができます。
いずれの方法も、輸注を行ったら必ず記録表に記録することが重要です。どの製剤をいつ、どのくらい輸注したかの情報は、何かあったときに医師のカルテと同じような貴重な情報源となるためです。
また、この他に、出血した場合の補助的治療として「RICE」と呼ばれる処置も必要となります。
血友病にはどんな治療があるの?
血友病の治療は、おもに血友病患者さんに不足している血液凝固因子を補充する血液凝固因子製剤が使用されます。血液凝固因子製剤にはいくつかのタイプがあり、最近では血液凝固因子製剤以外にNon-factor製剤(抗体製剤)も使用できるようになっています。薬剤にはそれぞれ特徴があり、投与方法や投与頻度も異なります。ご自身にとってどのような治療が適切か、医師と相談しながら考えてみましょう。
血液凝固因子製剤
血液は血漿(水分とタンパク質)と血球(赤血球、白血球、血小板)に分けることができます。この血漿から取り出したタンパク質成分を精製したものを血漿分画製剤といいます。血漿分画製剤にはアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤、血液凝固因子製剤、アンチトロンビン製剤、組織接着剤などがあり、これらの中で血液凝固第Ⅷ因子製剤および第Ⅸ因子製剤は血友病の治療に使用されます4)。
血液凝固因子製剤は、血友病で不足している血液凝固因子そのものを補充するために使用されます。血液凝固因子製剤は注射後に、補充した血液凝固因子の血液中の活性(はたらき)は徐々に低下します。活性が半分になるまでの時間(半減期)により標準型血液凝固因子製剤と半減期延長型血液凝固因子製剤に分けられます。
標準型血液凝固因子製剤
半減期が標準的(血液凝固第Ⅷ因子製剤では8~12時間、第Ⅸ因子製剤では16~20時間)な血液凝固因子製剤です1) 。
半減期延長型血液凝固因子製剤
血液凝固因子が体の中に長く留まるように開発された薬剤です。半減期が標準型血液凝固因子製剤の1.5~5倍程度と長いため、注射回数を減らすことができる利点があります1) 。
Non-factor製剤(抗体製剤)
2)血友病患者に対する止血治療ガイドライン作成委員会:血栓止血誌.2020: 31: 93-104.
3)Berntorp E. et al.: Haemophilia. 2016: 22: 389-396.
4)厚生労働省医薬局血液対策課:令和6年度 血液事業報告, p6, 2025
5)小倉妙美:血栓止血誌.2024: 35:52-59.
最終更新日 2026年2月13日
MAT-JP-2501590-2.0-02/2026